わが国の食品衛生事情

わが国の食品衛生事情については、戦後間もない頃は年間の食中毒死亡者が300から500人であり、患者

数は約40,000人ともいわれているが、過去30年間わが国における食中毒患者は毎年約40,000人前後、

その内

死亡者は年間数人であり、そのほとんどはきのこやフグによる中毒死です。当時の統計数字と現在のもの

を比較することは必ずしも正確ではありませんが、現在のわが国の保健所など行政システムを考えると、

少なくと

も微生物が原因の食中毒による死亡者の数はほとんど0人~数人です。米国疾病予防管理センター(US

CDC)の新しい推定によると、米国では毎年約4,800万人(米国民の6人に1人)が食品由来疾患に罹患

ており、約128,000人が入院し、約3,000人が死亡している。イギリスにおいても食中毒が原因での

年間死亡者数500人という数字を出しています。

現在、わが国に於いて微生物による食中毒で死亡することはジャンボ宝くじに当たるよりも難しいところ

まできています.従って、わが国は世界の中で病原微生物による食中毒が極めて少ない、非常に食品がき

れいな国であるとも言えます。つまり、アメリカやEUと比較しても現在のわが国の病原微生物による食

品衛生水準は世界でもダントツにトップであるといっても良いでしょう。

ところが、わが国では食品衛生に対する関心は益々高まってきています。そして、我々は毎日すっかり安

心して食べたり飲んだり出来るようになってきていることも事実です。  

それだけに我々にとって食品による危害の発生はまったく裏切られた気持ちになり、非常にショックとなります。

私たちの社会は戦後の復興から順調に高度成長に向かい、たぶんほとんどの人たちはすべてに安心してお

り、食生活などは中でも最も安心していられる部分ではないかと感じます。そのような中での裏切りは国

民にとっても非常に大きなショックであると思います。

したがって、わが国において食品を取り扱う立場の人間は食品の衛生管理については砕身の注意を払わな

ければなりません。

つまり、われわれの社会においては、現在の食中毒データだけでは、すでに非常に高度な食品衛生レベル

にありますが、今では更にそれ以上の管理が求められているといえます。

事実そのお蔭で食品企業にとっては食中毒が非常に大きな危機管理の要素になっており、企業の存続にも

影響は大きいのです。今では食中毒保険なども普及してきていますが、食品を取り扱う企業の経営者にと

って、衛生管理は商品開発などと同じあるいはそれ以上に重要な管理要素であることは間違いないでしょ

う。