オーストリア保健・食品安全局(AGES)は、保護ガス包装(ガス置換包装)に関するFAQを公表した。概要は以下のとおり。
Q1. 「包装用ガス」あるいは「保護ガス」とは何か?
A1. 生肉(肉及び魚)に「包装用ガス」あるいは「保護ガス」を充填する包装は、オーストリアでも何年も前から行われており、一般に認可されている。「包装用ガス」は通常の空気の成分である気体を混合したものである。保護ガス包装は特に、より衛生的にするために行われる。特定の腐敗菌の発育及び変色が抑制されるためである。
Q2. 認可されているガスは何か?どのような表示が必要か?
A2. 「包装用ガス」は食品添加物規則により添加物として製品一般への使用が認可されている。当該ガス添加物はアルゴン、ヘリウム、窒素、亜酸化窒素及び酸素である。包装用ガスを添加すると、食品表示規則により「保護ガス包装」と表示しなければならない。
Q3. 「包装用ガス」は肉の日持ちに影響するのか?
A3. 保護ガスにより日持ちが良くなる他、特定の腐敗菌の発育が抑制される。さらに、酸素と二酸化炭素の混合ガスにより、肉の変色が抑制され、赤色が長く保たれる。酸素が筋肉中の色素と結合するためである。
 AGESが2006年に行ったミンチ肉製品の調査で、ほとんどの保護ガス包装製品は、未包装あるいはラップ包装の製品と異なり、消費期限まで衛生的に問題がないことが示された。AGESの調査では、特に保護ガス包装の肉が腐敗することは確認されなかった。むしろ、真空パック製品と異なり品質がより安定するようである。
 菌数が最も少ないのは保護ガス包装である。生肉の日持ちは包装時の菌数に大いに依存するため、それをできる限り低減しなければならない。コールドチェーンを途切らせないことも非常に重要である。このように、保護ガスにより日持ちが良くなるのは、衛生的な製品に限られる。製品によっては、ラップ包装の2~3倍日持ちする。
Q4. 「包装用ガス」は健康に有害なのか?
A4. 有害ではない。高濃度酸素及び二酸化炭素が微量であるため、健康への影響は無視できる。これらの微量の残留ガスは加熱時に揮散する。100℃を超えると全ての気体が気化するためである。最適なのは、酸素約80%及び二酸化炭素約20%の混合ガスである。二酸化炭素により細菌の増殖が抑制され、酸素により色が保持される。
 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)の初期評価の結論では、高酸素ガス包装肉から消費者が追加的に摂取するコレステロール酸化生成物(COPs)は微量であり、現在の知見では健康リスクはない。
Q5. どのような製品に「包装用ガス」が使われるのか?
A5. 保護ガス包装される生肉(肉及び魚)は増加している。
Q6. 包装時に充填されたガスは肉からも検出されるのか?
A6.「包装用ガス」は大概、通常の空気の成分である気体を混合したものなので、どの肉にも存在する。
Q7. オーストリアの状況は?食品当局は何を検査するのか? 
A7. 保護ガス技術自体は1900年代半ばからある。食品スーパーでの使用が増加したのはここ10~15年のことである。AGESは、生の包装食品を集中的に検査している。特に考慮するのは、衛生面(腐敗菌)、食品安全面(病原菌)、日持ち、及びコールドチェーン管理である。又全サンプルの官能検査を行う。
Q8. 消費者はどのようにガス置換包装された食品を見分けることができるのか?
A8. 包装用ガスを添加すると、食品表示規則により「保護ガス包装」と表示しなければならない。
 消費者へのアドバイス:「保護ガス包装」という言葉は、肉の微生物学的性質を意味するものではないため、微生物に汚染されている可能性がある。当該生肉の調理に際しては、通常の生肉と同様に衛生に留意しなければならない。

                        2010(平成22)年8月13日  オーストリア保健・食品安全局(AGES)