コラム: 学校給食を考える

2011年7月27日(水)


 


学校給食を考える

 明治22年、山形県鶴岡町私立忠愛小学校で貧困児童を対象にし、昼食を与えたのが学校給食の

始まりと言われています。忠愛小学校での給食は、現在の学校給食のように、学校で調理された

食事を教室で給したものでした。当時の給食は、おにぎり・焼き魚・漬け物だったそうです。昭

和7年に国庫補助によって貧困救済のための学校給食が実施されるようになり、昭和15年には文

部省訓令で従来の貧困児だけでなく、栄養不良、身体虚弱児童も対象に含めた栄養的な学校給食

の実施がはかられます。そして戦後すぐに、全国都市の児童約300万人に対し学校給食を開始

しました。その当時はアメリカから無償で与えられた脱脂粉乳で給食が始まりました。  

 近年の学校給食については当然事情も大きく変わってきています。数年前からは、もう貧困の

 児童はいないのだから弁当持参にするべきだという考え方も広がり、一部の学校では実施してい

るところもあるようです。

ところで、学校給食に使われる食器は、アルマイト、ステンレス、プラスチック、強化磁器、強

化ガラス、木食器などがあります。プラスチックのポリカーボネートについては十数年前ビスフ

ェノールAという環境ホルモンが微量ではあるが溶出するとの報告がなされ、現在ではほとんど

 使用されていないようです。しかしながら、それまでは多くの学校給食で使用されていたのが、

 ポリカーボネートであり、少なくとも環境ホルモンによる影響と思われる精子の減少など、症状

 が現在の青年にも見られることを考えると今までの危害評価がどこまでできていたのかが疑問に

 なるところです。

 そして、学校給食の役割について考えるときに、学校給食法の目標のなかには、「日常生活にお

ける食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ま

しい食習慣を養うこと。」とあるように日常生活とリンクした食事でなければならないはずであ

るが、現在の学校給食での食器使用状況をみると、最も多いのが強化磁器、ポリプロピレン、メ

ラミン、コレール食器という順で、いずれもどう扱っても壊れないような材質ばかりで、明らか

に給食準備作業の効率が優先しています。お客様のことを優先に考えたレストランではこれらの

材質を食器には使いませんが、学校給食ではこれらが最も多く使われているということは、少な

くとも児童生徒ではなく効率を優先しているとしか考えられません。

  さらに、学校給食の持つ重要な役割として、学校給食法の目標の一つである、「食生活が食に

かわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を

うこと」ということであり、食事を作ってくれた方への感謝を感じる環境が必要となります。

 ところが、病院給食についても同様ですが、学校給食を民間委託に変えていこうという積極的な

 考えが多く、現実に進められており、そのような学校では、実際に給食を作っている方たちとの

 触れ合いはなく、どこからともなく給食が届くといった感じでしょう。

 つまり、食事とは目や耳から来る情報によってそのおいしさも異なってくるのであり、餌入れの

 様な食器であったり、カチャカチャするような音が出たりではとても食育にはなりません。食器

 は一般家庭で使われているものでなければ器を大切にすることを学ぶことも出来ず、どこからと

 もなく食品が提供するのであれば児童生徒はその作ってくれた方への感謝を忘れてしまい、挙句

 の果てには業者任せになり、利益を追求した結果大変広範囲な食中毒を起こしてしまうことも充

 分に考えられることです。

 食中毒事故による患者の殆んどが小児と老人であるように、児童生徒はまだまだ免疫学的にも非

 常に未熟な年齢であるといえます。

 提供する側つまりは文部科学省であったり教育委員会の責任は非常に大きいと同時になにより

 も、我々がもっと児童生徒の給食について関心を持たなければなりません。

                       食品・環境安全ネット事務局  池亀公和