そこで、こんどは低温保管基準の歴史といいますか経緯について触れてみます。

一般的にはまだ氷の冷蔵庫を使っていた昭和27年に厚生省食品衛生課長通知「折詰弁当の衛生

保持について」 が発行されました。そして昭和54年にはこれを基に厚生省食品衛生課長通知

「弁当及びそうざいの衛生規範について」が発行され「折詰弁当の衛生保持について」 は廃止

されます。

 そしてこれは今見ることが出来ません。厚労省や国会図書館に問い合わせても保存されてな

いということです。

 今はいくつか後輩のいる保健所で探してもらっているところです。読者の中で、もしお持ち

の方がおられましたらコピーを分けていただければ幸いです。

 つまり、現在の「弁当及びそうざいの衛生規範について」は昭和27年発行の「折詰弁当の衛生

保持について」が基になっているのですが、 その当時は氷の冷蔵庫の時代ですから、冷蔵庫を

あまり低い温度に設定することが出来ません。

 そこで、冷蔵保管温度が10℃以下という基準になったということを当時その基準作りにかか

わっていた今はすでに亡くなっておりますが、小生の恩師から伺った話です。 

 またちなみに、その当時の基準が衛生規範にそのまま残っているものとしては、照度があり

ます。 衛生規範では作業場で100ルクスということですが、これは当時は蛍光灯がなくほと

んどが裸電球の時代であったため100という数字になったようです。

現在では一般的には500ルクスぐらいを目標としているようですし、コーデックス等の国際基

準では540ルクスとしています。

 また、空中落下細菌にしてもそうです。清潔作業区域は、落下細菌数(生菌数)30個以下と

なっていますが、当時の食品取り扱い工場は、ほとんどが数人の零細企業で隙間だらけの木造

建築でしたから仕方がありませんが、今はほとんどが鉄筋となっています。今はたぶん検出さ

れても数個のレベルだと思います。少なくとも当時と今ではいろいろな状況がかなり変わって

いるといえるでしょう。

 そこで、この衛生規範にある冷蔵保管温度についてみると、冷蔵庫では10℃以下、の記載

の後に「5℃以下に保つことが望ましい」が追加されています。つまり出来るだけ5℃に設定

とありますが、その後、平成9年に発行された「大量調理施設マニュアル」ではほとんどの食

品で10℃以下とだけしか書いてません。

 現場にとっては、「出来るだけ5℃以下に保つこと」などの記述はいろいろな規範で残して

おいてもらいたいですね。たぶん食品の低温管理には大きな影響があると思われます。

ちなみに、コーデックス等の国際基準では食品の冷蔵温度は4℃以下となっています。

                                  食品・環境安全ネット事務局  池亀公和