コラム: 食中毒と責任

2011年5月4日(水)


 


食中毒事件が起こるたびにだれが責任だという議論がよく行われています。その際責任は当然

 

その施設の責任者であったり経営者であったり,るいは行政の責任を追及されていきます。

 

確かに責任は彼らにあることは間違いないことだと思いますが、それで食品衛生法などを強化

 

することが効果的かというと、それでは正直に食品を提供している業者の方たちにとっては大

 

変迷惑なことになります。

 

悲惨な交通事故はたびたび発生しており毎年約5千人が死亡していまが、そのたびに交通規

 

則を強化していたら一般の運転手は自動車にることができなくなってしまいます。

 

アメリカでの食中毒による死亡者数は毎年約3千人であり、私たちの国では毎年0~数人です。

 

つまり食品衛生レベルは歴史的にもダントツに世界トップであり、大変優れた文化を持ってき

 

ました。維新のころ、外国の外交官が日本についての報告書に、「日本人は大変きれい好きで

 

あり、自分の家ばかりではなく毎日家の前の道路まで掃除をしている」と書いてあったそうです。

 

つまり当時の日本人の多くは自分だけがよければいいという考え方ではなかったのでしょう。

 

この大変清潔で責任感のある国民の中にも、近年徐々に自分の利益ばかりを考える人間が出て

 

きたようですね。

 

このような人たちに対して、責任ばかり追及してモグラたたきのようなことをしていても、

 

また同じことを繰り返すばかりです。

 

そこで、私たちがもう一度考えなければならないのは、戦後なくなってしまった道徳教育の

 

強化であると思います。

 

そして、最近では3.11以来道徳のテレビコマーシャルが流れていますが、これはさりげ

 

なく継続していくことが大切だと考えます。

 

個々の食中毒事件に対する責任は当然厳しく追及し処罰しなければならないのは、交通事故

 

の責任を取るのと同じです。

 

ただし、同じ過ちをできるだけなくしていくためには、その場だけの修正ではなく根本を変え

 

る改善処置が必要となります。

 

                     食品・環境安全ネット事務局  池亀公和